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読売日本交響楽団《喜びのベートーヴェン》指揮者 松本宗利音氏、ピアニスト 仲道郁代氏からメッセージが届きました!

9月1日(日)読売日本交響楽団《喜びのベートーヴェン》でパルテノン多摩 大ホールに出演する指揮者 松本宗利音氏、ピアニスト 仲道郁代氏からメッセージが届きました!

指揮:松本宗利音

___読響の印象をお聞かせいただけますか?
個々の能力が高く、細かいニュアンスの違いを何通りも出すことができ、それでいてスケールの大きな演奏のできるオーケストラだと感じます。

___松本さんにとって、ベートーヴェンはどんな作曲家ですか?
ベートーヴェンは彼以前の作曲家とは違い、貴族や周りの人達の為だけではなく、全人類に向けて作曲をした人です。そして、自分の作品に芸術的価値があり、それを後世に残すべきだと思っていました。同時に、後に云われる“ドイツ的な響き”の基礎にもなり、ウェーバー、ワーグナーへと繋がっていきました。その意志の強さ、ドイツ的な響きというところがベートーヴェンの魅力だと思います。

___今回演奏する3曲はどんな作品ですか?
3曲とも和音の強奏から始まりますが、まさにベートーヴェンの意志の強さが表れている作品達です。どれも素晴らしい作品ですが、特に美しいと感じるのはピアノ協奏曲第5番「皇帝」の第2楽章です。第2楽章の後半にピアノが高音で伴奏のような音形を演奏し、メロディはオーケストラが演奏するという箇所がありますが、その響きは古典派という時代の括りや宗教を飛びこえて感動的で、さらには宇宙的な響きがするように思います。

___仲道さんとの共演について
もう何度も演奏されたであろうベートーヴェンの「皇帝」を、指揮台で一番間近で見ることができ、そして一緒に音楽作りをできることが今からとても楽しみです。

___今回のパルテノン多摩での演奏に向けた思いをお教えいただけますか?
オールベートーヴェン、ソリストに仲道郁代さんという素晴らしいプログラム、そしてベートーヴェンは僕にとって一番大切な作曲家です。是非聴きに来てください。

___多摩市やパルテノン多摩の思い出などがあればお教えいただけますか?
2015年頃でしょうか、読響の旧練習所が老朽化で使えなくなり、オーケストラの練習会場が放浪生活になった頃、ちょうど楽器の搬入や舞台設営などを行うアルバイトで読響に通い出しました。放浪とはいっても、多くのリハーサルの日々(おそらく半分くらいは)をパルテノン多摩で過ごすことができました。朝9時に楽屋口に集合して、舞台設営をしていた頃を懐かしく思います。とても響きの良いホールなので、そこでリハーサルをしていたことは、オーケストラにとっても素晴らしい経験になったのではないかと思います。そして、パルテノン多摩といえば、僕にとっては向かいのデパートの食品売り場にあったカツ丼です。元々重度の卵アレルギーだった事もあり(今は生卵でなければ大丈夫)それまでカツ丼は食べたことが無かったのですが、先輩達が美味しい美味しいとおっしゃるので、勇気を出して買って食べてみたら、あまりの美味しさに震えました。それ以降、パルテノン多摩でリハーサルの時は、ほぼ毎日カツ丼を食べていましたね。少し喉を痒くしながら。

ピアノ:仲道郁代

___読響の印象をお聞かせいただけますか?
オーケストラとしてのまとまりが良く、楽団員の方の意思疎通が積極的に図られているように感じます。指揮者の意図を、食いつくように汲み取ろうとする雰囲気があり、とても良い印象を持っています。過去に「皇帝」を一緒に演奏した時も、細やかな緻密なアンサンブルで、美しいピアニッシモを生み出すことができました。今回の共演でも、とても期待しています。

___仲道さんにとって、ベートーヴェンはどんな作曲家ですか?
ピアノ曲、室内楽、協奏曲などベートーヴェンの作品は、ライフワークとして繰り返し演奏してきました。ショパン、シューマン、モーツァルト、シューベルト、ブラームスなどの音楽は、演奏していて苦しかったり、切なくなったりすることが多いのですが、ベートーヴェンの音楽は常に「苦悩をいかに乗り越えるか」というもので、ポジティヴなエネルギーを感じられます。音楽をサウンドして捉えるのではなく、言葉のような哲学的な概念としてとらえている作曲家だと感じます。

___仲道さんにとって、ピアノ協奏曲第5番「皇帝」はどんな作品ですか?
この曲は、私はデビューから36年間、弾き続けています。その間、私の中で、印象はどんどん変わってきています。「皇帝」というタイトルから、若い頃は英雄的な華やかなものをイメージしていましたが、何度も弾き、当時の政治情勢などを調べ、美学や思想などの変化との結びつきなども知ることで、イメージが変わってきています。作曲した1809年は、ナポレオンがウィーンに侵攻してきていて、ベートーヴェンは大砲が鳴る中で地下にこもり、恐ろしさに耳をふさぎ、震えていたとされています。そのような自身の命の危機や、政治の大きな変化を感じながら、この曲の構想を練っていたのだと思います。そのため、華やかなイメージだけではなく、社会への抵抗、レジスタンスの音楽だと感じます。

___具体的な、曲の聴きどころ、ポイントなどあれば、教えていただけますか?
第1楽章は、レジスタンスの音楽です。曲の中には、馬車が進むような音も聴こえますし、大砲などが鳴るような音が聴こえます。第2楽章は、生死の狭間にある「祈り」の音楽。苦しみながらも祈っている。そして第3楽章に、「喜び」を感じる踊りの音楽になります。ピアノ・ソナタなどでも出てくるのですが、ベートーヴェンは、生と死の境を半音の変化で描くことが特徴です。「皇帝」でも第2楽章でホルンの延ばす音がシ(B)の音からシのフラット(B♭)の音に変わる、そして踊りの音楽が始まります。この半音の変化は、この曲ではとても大事な場面だと思います。ここに、この曲の意味が集約されているとも言えると思います。他には、ベートーヴェンが同時期に書いたピアノ・ソナタ第26番「告別」の第3楽章との繋がりも感じられます。また、「皇帝」という作品にも、後に交響曲第9番での「自由に」というシラーの思想にも繋がる部分も感じられます。曲の表面的な派手さに意識が向いてしまいそうですが、曲には様々な多くの深い意味が隠されているので、今回それを丁寧に音にできればと思っています。

___仲道さんの最近の活動は、充実感を増しているように感じます。
2018年から2027年に向けて、10年間のリサイタルシリーズを行っています。最近は、音楽に向き合って、楽譜を音にするというときに、思考が深まっている感覚があります。作品から自分は何を感じて、何を伝えたら良いのか、明確になってきています。特にベートーヴェンに関しては、哲学的なアプローチなどを繰り返しています。ベートーヴェンが音に託した想いをどうとらえるか、分かってきたように思います。

___今回のパルテノン多摩での演奏に向けた思いをお教えいただけますか?
パルテノン多摩へは、2011年にリサイタルで演奏して以来、久しぶりに訪れることを嬉しく思っています。リニューアル後は初めてですので、どんな響きになるのか楽しみです。
一人で演奏するリサイタルと、指揮者やオーケストラと一緒に演奏する「協奏曲」は大きく異なります。指揮者の方の解釈などで「皇帝」でも毎回違ってきます。今回の指揮者、松本宗利音さんとは初めて共演しますので、どんな化学反応が起こるのか、とても楽しみです。松本さんと読響との演奏をぜひ聴いていただけると嬉しく思います。

曲目

ベートーヴェン:バレエ音楽「プロメテウスの創造物」序曲
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲 第5番「皇帝」
ベートーヴェン:交響曲 第7番

公演情報

2024年9月1日(日)14:00開演(13:15開場)
会場:大ホール
料金(全席指定・税込):¥7,800
※未就学児ご入場不可
※車椅子席ご予約は、公演2日前までのパルテノン多摩への電話予約のみ。

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