文化芸術に関する意識やニーズ、加えてパルテノン多摩のこれまでの事業(音楽・演劇等の鑑賞事業、博物館事業、貸館事業など)への参加実態等を把握すること、更に市民(利用者、未利用者含む)の要望を取り入れた事業展開を推進する目的で令和元年8月から10月にかけて市民ニーズ調査を実施しました。

(1) 調査の概要
調査の方法は、多摩市に1年以上居住の13歳以上の男女3,000名を無作為に抽出したアンケート調査と、アンケート回答者の中から有志の方18名にグループインタビュー調査を実施しました。3,000名のうち、回答者は1,135名。回答率は37.8%でした。

(2) 調査結果(まとめ)
調査の結果、多摩市は文化芸術を大切だと思う人が89.7%おり、年に1回以上文化芸術を鑑賞する人の割合も77.1%と全国(53.9%)と比較して高いことから、文化芸術について高い市民意識があることが分かりました。
事業の認知度では、「クラシック音楽」(70.7%)が最も高く、市民活動や学校活動として利用の高い「合唱」(60.7%)が次に高い結果となりました。事業の興味度については、「映画」(48.3%)が高く、次に「クラシック音楽」(41.1%)が続きました。
一方で、事業不参加の理由は年齢別に特徴が表れていました。まず10~20代は「何をやっているか知らない」(58.6%)、30~40代は「仕事や家事で時間的余裕がない」(49.7%)、50~60代は「行きたいと思える事業がない」(38.9%)、70代以上は「送迎などのサポートがないと来館が難しい」(13.5%)という理由がそれぞれ他世代よりも突出して高く、世代ごとの課題を示していました。
パルテノン多摩に行かず、他館で鑑賞した理由としては「公演プログラムに魅力がある」(58.6%)、「家族・友人に誘われた」(42.9%)が挙がりました。文化芸術の情報入手経路や来館頻度についても年齢別に特徴が見られました。例えば市内に配付している情報誌「パルテノン多摩NEWS」は70代以上の方の26.7%に読まれているのに対し、20代には1.7%しか読まれておらず、紙媒体は高年齢層には有効であっても若年層には効果が薄いことが分かりました。その他、ウェブやSNSは10代(54.5%)から60代(41.6%)までの幅広い世代で高く利用されていることや、来館頻度として、年に1回以上来館する方の割合は70代以上で53.1%と高齢層の来館の割合が比較的高いのに対し、若年層特に20代の同割合は4.2%と、20代の来館頻度が他世代と比較して特に低いことが分かりました。
市民からの文化芸術への期待としては「心の豊かさ」(73.9%)が高く、文化施策へのニーズとしては「鑑賞機会の充実」(60.0%)や「子供たちが参加できる事業」(45.9%)が高い結果となりました。パルテノン多摩への期待としては「気軽にくつろげる施設があること」(59.2%)、「良質な鑑賞事業の充実」(58.5%)、「多摩市のシンボルとなること」(45.1%)が高い回答結果となりました。
市民がパルテノン多摩の運営に参加することについて、17.6%の方が「参加してみたい」と回答しており、市民運営について一定のニーズがあることが分かりました。 文化芸術活動に参加している人ほど幸福度が高い傾向にありました。文化芸術の鑑賞頻度、パルテノン多摩への来館頻度、パルテノン多摩の市民運営への参加意向などについて、幸福度が高いグループほど、そうでないグループよりも積極的な回答をする傾向がみられました。

(3) 市民がパルテノン多摩に求めているもの
市民が文化芸術に期待するものとしては、「心の豊かさ」、「創造性」、「柔軟性」といった文化芸術の本質的な価値へのニーズがあり、それに続いて「人的交流・仲間づくり」、「地域活性化・観光」、「教育・次世代育成」、「高齢者・障がい者福祉」といった更に発展的な事業についてのニーズがありました。
また、注力すべき文化芸術施策としては、「鑑賞機会の充実」、「子どもたちが参加できる事業」にニーズがあり、その他「創作活動の支援」、「若いアーティストの発掘や育成」、「情報の発信」、「地域に密着した伝統的な文化体験機会の提供」、「歴史や自然を学ぶ機会の充実」、「市内文化活動を支えるためのしくみづくり」等に一定のニーズがありました。
加えて、年齢層による意識の違いが明確になりました。10代、20代などの若年層ほど「学校や福祉施設との連携」や「子ども広場」に関心が強く、70代以上の高齢層ほど、「送迎などのサポートが必要」で「市民の相互交流の充実」に関心が強いことが分かりました。

調査報告書(概要)についてはこちら
調査のアンケート用紙についてはこちら