冷蔵庫の扉の上のマグネットは、一緒に行った旅行先で娘は反対したけれど母が気に入って買った物で、娘はあまり気に入っていないのだけど、もう何年も使っている物かもしれない。何かある度に母にサプライズをするのが大好きで、その準備に夢中になってしまう娘だったのだけど、この数年はそういう気分から少し遠ざかっているのかもしれない。・・・日常とはそんな機微の積み重ねで、振り返ると愛しくてたまらないものなのかもしれません。大空さんと加藤さん、ピアニストの松木さん、３人が紡ぐ特別な約90分は、どなたにとっても、演出者の私にとってもかけがえのない時間になると思います。どなたも舞台上の母娘のどちらかかもしれない、本当に素晴らしい作品です。どうぞ劇場にいらしてください。お待ちしております。

演出　田中麻衣子

ちょうど1年前、パルテノン多摩で音楽朗読劇「冷蔵庫のうえの人生」を観劇しました。母親になる年齢になったこともあり、母側にも娘側にも気持ちを重ねてしまい、物語が進むにつれて本当に涙が止まりませんでした。大空さんと加藤さんが紡ぐ物語に音楽でそっと寄り添えるよう、精一杯務めます。お客様、演者とスタッフに愛されてきたこの作品に参加させていただくこと、心から感謝いたします。

ピアノ演奏　松木詩奈