公演・イベント情報
PERFORMANCE/EVENT

企画展「戦争と多摩の人々」

開催日: 2025年06月14日 - 11月09日

多摩市役所そばの彰忠碑  程内雅司氏撮影

 日本が終戦を迎えてからまもなく80年を迎えようとしています。当館ではこの節目の年に、戦争を振り返る企画展をおこないます。当館では、過去に銃後の人々や学童疎開に関する展示をおこなってきましたが、今回は、戦地に行った出征者に焦点を当てます。
 かつての多摩村ではどのくらいの人が戦争に行き、どのような経験をしたのでしょうか。復員してきた人々が執筆・刊行した『落合の軍隊記録』をはじめ、多摩市に残るさまざまな記録や資料から、戦争を振り返ります。
 なお、出征を体験した当時の若者は、壮年期に多摩ニュータウン開発を経験しています。また、多摩ニュータウン開発者、初期の入居者も、それぞれが戦争にまつわる体験を持っていました。本展では、多摩ニュータウン関係者たちの戦争体験についても簡単に紹介します。
 さらに、多摩ニュータウン開発後も継続された記憶の継承のさまざまな試みについてもご紹介し、今後の継承について考える機会としたいと思います。
 今回の展示では、市民学芸員と当館学芸員が協力しながら、調査やデータ整備、考察などをおこないました。随所にみられる市民学芸員による調査成果にもご注目ください。

展示構成

プロローグ 市役所そばの碑~彰忠碑~

市役所のそばにある彰忠碑は日清・日露戦争からアジア・太平洋戦争の従軍者・戦死者を記念するために建てられた碑です。この碑はいつ建てられ、どのようなことが彫られているのでしょうか。 碑の内容を関連資料とともに紹介します。

1章 出征まで

 人々はどのようにして出征したのでしょうか。戦前・戦中の日本では国民に兵役の義務が課せられ、村役場の「兵事係」がその事務を担いました。兵事係の資料は終戦時に焼却され、全国的に残存事例が少ないとされるものの、多摩村の兵事係の資料は多数残されていることがわかりました。兵事係や個人伝来の資料を通じて、出征までの手続きや状況を確認します。

第2章 資料にみる出征

 出征した人々はどこに行き、どのような経験をしたのでしょうか。戦後、落合地区でまとめた『落合の軍隊記録』は、出征者の経験の一端を知ることができる貴重な記録です。ここでは『落合の軍隊記録』や戦地写真などから出征者の足取りをたどります。また、戦争は戦地だけのものではありませんでした。軍事郵便や、戦死者の村葬の記録などに見られる、戦地と内地とのつながりについても考えます。

第3章 戦争の記憶の継承

 終戦から20 年ほど経った昭和40年(1965)には多摩ニュータウン開発が事業決定されます。戦時中に若者だった出征者の多くは壮年期を迎え、責任ある立場で対応に追われました。激動の開発を経ても、戦争が忘れられることはありませんでした。開発が落ち着くと、戦没者の碑の建立や記録の刊行が相次ぎます。これは人々が戦争について考え続け、これを伝えようとした証なのかもしれません。現在も続く記憶の継承の試みなどを紹介します。

開催情報

会期:2025年6月14日(土)~2025年11月9日(日) 入場無料

時間:10:00~17:30

会場:2F ミュージアム

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