終了
平成29年度文化庁
劇場・音楽堂等活性化事業 東京2020参画プログラム
2017年8月、パルテノン多摩にて「多摩ニュータウン」を題材にした新作演劇を上演します。
注目の劇作家・瀬戸山美咲氏が、多摩ニュータウンの各世代の住民の方の証言と、市民ワークショップをもとに、
「街」を描く演劇作品です。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1971年に入居が始まった多摩ニュータウン。かつては20代から30代の家族が集まる「若い街」でした。
平日、お父さんたちはまだ暗いうちに家を出て、朝早くの電車で都心の会社に向かい、夜遅くに帰ってきました。
お母さんたちは歩道と車道が分かれた安全な街で、子育てにいそしみました。
次々とできる団地の1部屋1部屋に、絵に描いたような昭和の暮らしがありました。
街はただの建物の集合体ではありません。たくさんの人が集まると、当初の都市計画にはなかったことも起きました。
20代、30代の家族が一気に引っ越してきたことで、たくさんの野球チームが生まれ、
日曜日にはたくさんの試合がおこなわれました。
深夜、飲み屋のない街には、ラーメン屋台がやってきました。
混雑する朝の京王線では、今日の天気のアナウンスをする車掌さんがいました。
発展する街の影で、消えてしまったものもありました。
かつて、多摩村にいた蛍が消えました。たくさんの自然が消えました。畑が消えました。農業をする人が消えました。
46年目の今、30代だった夫婦は70代になりました。
一新された街も、また歴史を刻んできました。
新しく植えられた木が枝を伸ばし、街は緑に包まれました。
たくさんの子供たちが街を旅立ち、空いてしまった小学校や中学校の建物は別の役割を与えられました。
年をとった住民たちは、団地の4階、5階から下の階に引っ越しました。老朽化した団地は新しいマンションに変わりました。
住民が減るにつれて、商店街の店は閉まっていき、移動販売車がまわる地区ができました。
現在の人口は21万人。当初の住民数の目標30万人には届きませんでした。
街の外の人たちは言います。
「こうなることを予想できなかったの?」
でも、そもそも、人は何年先のことまで想像し、計画していけるのでしょう。
今、日本全体が高齢化し、人口が減り始めています。
多摩ニュータウンのあとも日本中にニュータウンができました。
そのすべての街がこれから直面することが、多摩で起きています。
多摩ニュータウンのこれからの想像することが、日本中の街のことを想像することにもつながります。
計画していた通りに進まなかったとしても、悲観する必要はありません。
かわりに計画していなかったたくさんの素敵な出来事がありました。
そんなたまたま起きたことの豊かさに目を向ければ、この街の未来が見えてきます。
今、ここから変わっていけばいいのです。
それはまるで人の人生そのものです。
これは、多摩ニュータウンという街と、そこで暮らす人々の、「計画」と「たまたま」の物語です。
瀬戸山美咲
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
出演:浅井要美 浅倉洋介 石田迪子 大原研二 亀島一徳 小林あや
とみやまあゆみ 中田顕史郎
前原麻希 町田マリー まりあ 目次立樹 山中志歩 山森大輔 吉田能 ワタナベミノリ
音楽:吉田能
美術:土岐研一
照明:上川真由美
音響:泉田雄太
衣裳:高橋毅
ドラマターグ:中田顕史郎
演出助手:石塚貴恵
舞台監督:川除学
制作:小野塚央
「たまたま」ブログ
http://tamatamatama2017.hatenablog.com/
「たまたま」ツイッター
https://twitter.com/tamatama201708
【出演者プロフィール】
浅井要美
1950年群馬県高崎市生まれ。1987年より多摩市在住。劇団文学座プラチナクラスを卒業、 演劇集団プラチナネクスト所属。主な出演作「善人の条件」「太夫さん」「真夏の夜の夢」「音楽劇 海は天才である」「ベテルギウスが消えるまで」「愛いっぱいの愛を」(パルテノン多摩✖️FUKAIPRODUCE羽衣)等。また、オペラの進行の語りや、地域では、「絵本の読み聞かせ」「群読の会」で活動している。
浅倉洋介
1978年生まれ。兵庫県出身。流山児★事務所、風琴工房を経てフリー。ミナモザ、MU、三条会、ピーチャム・カンパニー、劇団天動虫、ぼっくすおふぃす、ロデオ★座★ヘヴン、Ammoなどの作品に出演。
石田迪子
1986年生まれ。東京都青梅市出身。2009年に文学座附属演劇研究所を卒業後、舞台・映像・ナレーションなどで活動。近年は、単独で朗読ライブも主催する。主な出演作に、ミナモザ『みえない雲』・岸田國士『恋愛恐怖病』・あやめ十八番『ダズリング=デビュタント』・青☆組『時計屋の恋』、NHK大河ドラマ『花燃ゆ』など。
大原研二
1975年生まれ。福島県南相馬市出身。DULL-COLORED POP所属。TOHOKU Roots Project理事。主な出演作DULL-COLORED POP『演劇』、テアトル・ド・アナール『従軍中のウィトゲンシュタイン(略)』、ミナモザ『彼らの敵』、映画『アウトレイジ』など。
亀島一徳
1986年生まれ。東京都出身。小中高と多摩センターで育つ。ロロ所属。ロロには09年の旗揚げから参加し、ほぼ全作品に出演。映像も含め外部作品への出演も多数。近年の主な舞台出演作に、東京グローブ座で上演された『TOKYOHEAD〜トウキョウヘッド〜』、KUNIO12『TATAMI』、サンボン『口々』、木ノ下歌舞伎『勧進帳』『東海道四谷怪談―通し上演―』などがある。
小林あや
1971年生まれ。'92年より流山児★事務所に10年在籍。現在はフリーで舞台や映画に出演する他、演劇教育や市民講座のワークショップファシリテーターも行っている。主な出演作品に「おんな・三匹!」流山児★事務所(演出 ラサール石井)「燈臺」t.p.t(演出 デヴィッド・ルヴォー)「小さな水の中の果実」椿組(作.演出 鄭義信)「だるまさんがころんだ」燐光群(作.演出 坂手洋二) 「風が吹いた、帰ろう」桃唄309(作.演出 長谷基弘)映画「竜宮、暁のきみ」など。
とみやまあゆみ
1986年生まれ。神奈川県出身。最近の主な出演作は、KAKUTA Sound Play Series「アンコールの夜」(脚本・演出/桑原裕子)、□字ック「荒川、神キラーチューン」(作・演出/山田佳奈)、SPAC「高き彼物」(作/マキノノゾミ 演出/古舘寛治)、TEAM HANDY ACTACTION vol.04『ワンス アポン ア タイム in 京都 Ⅲ〜錦小路の素浪人〜』(作・演出/鐘下辰男)、テレビ朝日金曜ナイトドラマ「女囚セブン」など。
中田顕史郎
1966年生まれ。1985年、舞台俳優としての活動を始め、解散した劇団「青空美人」の看板俳優。現在はフリー。近年はミナモザ、空想組曲、鵺的、DULL-COLORED POPなどに出演。2016年度の、 サンモールスタジオ年間最優秀男優賞を受賞した。また1990年頃からコンテンポラリーダンス作品のドラマターグ を担当し、近年は演劇作品のドラマターグも多数担当。中でも、 ミナモザの瀬戸山美咲とつくる作品は、 岸田戯曲賞や読売演劇大賞にノミネートされている。
前原麻希
1989年生まれ。東京都出身。2012年より約4年間蜷川幸雄の元で演出助手として活動した後、2017年より本格的に役者を目指す。主な出演作として、NODA・MAP「ザ・キャラクター」蜷川幸雄演出「祈りと怪物〜ウィルヴィルの三姉妹〜」「青い種子は太陽のなかにある」
劇作家女子会「人間の条件」、七味の一味「家族百景」。映像では、瀬々敬久監督「菊とギロチン -女相撲とアナキスト-」 に出演し、2018年に公開が控えている。
町田マリー
1979年、千葉県出身。立教大学在学中に江本純子と劇団「毛皮族」を旗揚げし、看板女優として活躍。近年の舞台出演作は『グッドバイ』(演出・ケラリーノ・サンドロヴィッチ)、『あたらしいエクスプロージョン』(演出・福原充則)など。その他、映画『俺俺』(監督・三木聡)、『なりゆきな魂、』(監督・瀬々敬久)、ドラマ『恋愛時代』(YTV)など映像でも活躍。09年主演映画『美代子阿佐ヶ谷気分』でヨコハマ映画祭最優秀新人賞受賞。今秋には森山直太朗劇場公演『あの城』の出演、そして自ら立ち上げた新ユニット「パショナリーアパショナーリア」第一回公演『絢爛とか爛漫とか』が控えている。
まりあ
1994年生まれ、神奈川県出身 ぶたい 地域の物語 2016.2017 「生と性をめぐるささやかな冒険」
おんがく オレモリカエル アルバム「おふとん」Vo.として 参加 しょぞく Dou kyu sei.
目次立樹
1985年生まれ。島根県出身。劇団ゴジゲン所属。主な出演作は、ゴジゲン『ごきげんさマイポレンド』『劇をしている』、舞台『イヌの日』、結城企画『ブックセンターきけろ』、『トリスタンとイゾルデ』、北九州芸術劇場プロデュース『しなやか見渡す穴は森は雨』などがある。2017年7月にはゴジゲン番外編『なんかすごいSF的なやつ』演出・出演、8月にはto R mansion『にんぎょひめ』脚本を予定している。
山中志歩
1993年生まれ。三重県出身。無隣館3期俳優部に所属している。主な出演作品は、劇団子供鉅人「モータプール」、ミエユース演劇ラボ「マチマチのオムニバス」構成・演出 岩井秀人さん、ネオンホールプロデュース「四色定理のセブンス・コード」作・演出 柴幸男さん、五反田団「新年工場見学会2017」、北九州芸術劇場プロデュース「しなやか見渡す穴は森は雨」作・演出 ノゾエ征爾さん、等の多数の作品に出演。
山森大輔
1980年生まれ。東京都国分寺市出身。文学座所属。主な出演作に『青べか物語』(文学座)、『彼らの敵』(ミナモザ)、『愛いっぱいの愛を』(パルテノン多摩×FUKAIPRODUCE羽衣)、『始まりのアンティゴネ』(椿組)、『愛死に』(FUKAIPRODUCE羽衣)など。
吉田能
1985年生まれ。東京都出身。多摩市には小学校入学時より20年以上住み続けた。三兄弟トリオバンド「花掘レ」、コントユニット「PLAT-formance」所属。舞台への楽曲提供、演奏、俳優としての出演など、幅広く活動している。主な出演作に『神の左手』(キコ/qui-co.)、『奇跡の年ANNUS MIRABILIS』(趣向)、『ダズリング=デビュタント』(あやめ十八番)など。
ワタナベミノリ
1987年生まれ。滋賀県出身。2013年より「野鳩」に所属し、2016年の解散まで全ての公演に出演。その他の主な参加作品。MCR「ミカエル」、キリンバズウカ コルドファン公演「東益平7丁目団地防衛隊」。
劇作家・演出家・ミナモザ主宰
2001年ミナモザを旗揚げ。現実の事象を通して、社会と人間の関係を描く。代表作に『ホットパーティクル』『指』『エモーショナルレイバー』など。世田谷パブリックシアターのワークショップや、ロンドンバブルシアター『ヒロシマの孫たち』など、コミュニティの人とつくる演劇にも継続的に携わっている。
瀬戸山美咲さんからのコメント
あの頃、思い描いていたこと。思いもしなかったこと。街に人々が集まったとき、何が生まれたのか。 たくさんの方の証言をもとに、人間の集合体としての多摩ニュータウンの過去・現在・未来を描きたいと思います!